法人でFXをした場合の税金に関するメリットとデメリット

FXの税金・確定申告 2018/8/28 169view
法人でFXをした場合の税金に関するメリットとデメリット

FX法人はレバレッジ規制が緩和される(メジャー通貨のレバレッジは100倍程度までOK)ほか、経費計上できる部分が大きく、繰り越し控除が7年間に伸びるなどメリットが大きい。その反面、法人事業税と法人地方税の支払い部分が大きくなることや、事業コストがかさむこと、儲けたお金が使いにくい、事業解体しにくいなどのデメリットがある。FX法人設立は100%節税できる訳でなく、設立は慎重に検討すべき。

法人でFXをすると「節税効果が高い」という理由や「レバレッジ規制が回避できる」との理由から、(個人で)FX法人を設立する人がいます。通常、FXで掛かった経費は「必要経費」として認められますが、法人化するとさらに、経費として認められる部分が大きくなります。本記事では、法人でFXをした場合の「税に関するメリットとデメリット」を解説します。

FX法人に課される法人税のしくみ

個人でFXをする場合、「年20万円以上の利益」で税金が課されますが(専業トレーダーの場合は年38万円以上)、法人に課される税の仕組みは異なります。まず法人には「法人税」が課されるのですが、法人税は国税である「法人事業税」と「法人住民税」の二つに分類できます。

法人税のしくみ(国税と地方税)

法人事業税(国税) 会社の利益に課される「所得税」にあたる。赤字決算の場合に税金はかからない。税率は22%~30%
法人住民税(地方税) 均等割が適用されるため、赤字決算でも最低限支払う金額が設けられている。

法人事業税(国税)は会社の所得に課される税ですが、所得の計算方法は【益金−損金】となり、赤字決算の場合に税金は発生しません。一方の法人住民税(地方税)とは、自治体のサービスを享受していることに対し、支払うべき税金です。このため、赤字決算の場合にも一部「支払うべき税」が発生します。法人地方税の計算方法は、次の通りです。

チェックポイント

法人住民税(地方税)の計算方法

法人税割 + 均等税 = 法人住民税

上の「法人税割」は【法人税額 × 住民税率】で計算します。また均等税ですが、会社の規模(会社の所在地や法人の資金別等)によって金額(税率など)が異なります。

法人税割と均等割額を計算してみよう!

例えば、東京都の場合、会社が都内(23区内)にあり資本金が1千万円以下、かつ従業員50人以下の場合は「7万円」の均等割となり、住民税率は12.9%が適用されます。

東京都以外の場所も含め「均等割」と「法人税割」がどのように異なるのか。それぞれの仕組みを、事業規模別にまとめてみました。まずは均等割のしくみについて見てみましょう。

均等割のしくみ

資本金の額 従業員数 税率(年額)
1,000万円以下 50人以下 50,000円
1,000万円以下 50人以上 120,000円
1,000万円以上、1億円以下 50人以下 130,000円
1,000万円以上、1億円以下 50人以上 150,000円
1億円以上、10億円以下 50人以下 160,000円
1億円以上、10億円以下 50人以上 400,000円
10億円以上 50人以下 410,000円
10億円以上、50億円以下 50人以上 1,750,000円
50億円以上 50人以上 3,000,000円

次に、法人税割のしくみをまとめてみました。

法人税割のしくみ

資本金の額 平成31年9月30日以前に事業を開始 平成31年10月1日以降に事業を開始
資本金の額が1億円以下の法人 11.1% 7.4%
資本や出資をもたない法人 11.1% 7.4%
法人ではない社団や財団 11.1% 7.4%
上記以外の法人 12.1% 8.4%

FX法人を設立する場合、どのような税金が発生するのか、上の表や計算式を使って計算してみてください。また個人で税金を納める場合と、どのくらい金額が変わってくるのか、以下の記事を参考に(税額・税率)比較してみましょう。

FX法人を作るメリットは3つ

FX法人を作るメリットは、レバレッジ規制の面、節税面、繰り越し控除のしくみなど、大きく分けて3つあります。

FX法人を作るメリット

レバレッジ規制の回避 メジャーな通貨ペアであれば、レバレッジは100倍
節税 会社を運営するための費用は、すべて経費になる
繰り越し控除 赤字決算の場合、7年間繰り越し控除ができる

それぞれのメリットについて、解説します。

FX法人を作るメリット① レバレッジ規制の回避

通常、個人でFX取引をした場合、レバレッジは「最大25倍」までと制限が設けられています(2018年8月末時点)。

もちろん法人にも「レバレッジ規制」が課されるのですが、法人の場合は認められるレバレッジの割合が大きく、メジャーな通貨ペアであれば「100倍」程度までレバレッジが掛けられます。つまり…個人の約4倍までレバレッジが掛けられるということは、より「大きなトレードが出来る」ということになります。

FX法人を作るメリット② 節税

個人でトレードする場合にも、FXで掛かった通信料や、パソコン・タブレット・スマホ関係の費用(※ただし、減価償却するなど、合理的な割合を算出する必要あり)など、一部を「経費」として計上できました。

法人の場合は、さらに経費として認められる部分が大きくなります。なぜなら、事業を運営するのに必要なものは、すべて「経費」として認められるからです。

個人の場合、自分のために使ったお金と「FXで使った費用」を切り分ける必要がありました。しかし法人の場合は、親族への給与、車や通信機器の減価償却費、経営者向けの生命保険、備品や消耗費全般、会社の家賃等々。法人化によって、経費計上できる部分は大きく広がります。

このほか、事業年度を早く終わらせることで、税理上有利に進めることができます。なぜなら、個人の決算期は「12月」と決まっていますが、法人の場合自由に決算期が設定できるからです。

FX法人を作るメリット③ 繰り越し控除

個人にも「3年間の繰り越し控除」が認められていましたが、法人の場合はさらに4年長い「7年間の繰り越し控除」が認められます。万が一、トレードで赤字になった場合でも、ここまで長く(7年間も!)繰り越し控除できれば安心ですね。

FX法人を作るデメリットは4つ

次に「FX法人化」のデメリットを見てみましょう。FX法人化のデメリットは、大きく分けて4つあります。

FX法人化のデメリット

コストがかかる 登記費用、会社運営のコストが大きくなる
経理作業が複雑 経費の部分が増えれば、その分計算も複雑に
儲けたお金が使いにくい 会計上、自分で儲けたお金が使いにくい
事業解体しにくい 設立する以上に、廃業しにくい

法人化のデメリットを順に解説しましょう。

FX法人を作るデメリット① 法人化はコストが掛かる

法人をつくるのにも「大きなコスト」が掛かります。先ず、法人化をするための登記費用、税理士や行政書士に支払う費等が発生します。また赤字決算の場合でも、法人地方税を支払う(※ 本記事前半を参照)必要があり、会社運営にも家賃や人件費など、多くの費用が掛かります。

FX法人を作るデメリット② 法人を設立すると経理作業が複雑になる

法人を設立しFXをすると、経費計上できる部分が多くなる分、経理作業が複雑になります。また個人の確定申告とは違い、法人税の計算方法は「やや複雑」です。このため、経理や税務に慣れていないと、正確な「税金の計算」ができず、決算期にあたふたしてしまうことでしょう。

FX法人を作るデメリット③ 儲けたお金が使いにくい

法人化してしまうと、受け取る利益は「役員報酬」という形になり、会社で儲けたお金を自由に使うことはできません。また、役員報酬を変えるにしても、議事録を作成したり、保険事務所への届け出が必要なので(お金を使う)自由度は小さくなります。

FX法人を作るデメリット④ 法人化すると事業解体しにくい

一旦、法人化してしまうと、会社をたたむのにもコストが掛かります。法人を設立したのと同じように、決算や登記、税金などのお金(+税理士、行政書士の依頼費用等)が掛かってきます。このほか「FX法人」をつくることは、租税回避行為と見なされてしまい、税務調査が頻繁に入るなどのデメリットも生じます。

法人を作る場合は、レバレッジや経費の面だけでなく、設立費用や運営費用、税金面の問題も大きくなることを覚えておいてください。

まとめ|FX法人を作る税制上の「メリットとデメリット」

最後に、FX法人を作る税制上の「メリットとデメリット」について、本記事の内容をまとめておきます。

FX用に法人を作る税制上のメリットとデメリット
☑ FX法人はレバレッジ規制が緩和される(レバレッジ100倍)
☑ FX法人の運営に必要な部分は、すべて経費計上できる
☑ 繰り越し控除が7年間に伸びる
☑ 法人事業税と法人地方税の支払い、運営コストがかかる
☑ 法人化で得た利益は、役員報酬で受け取る形になる(自由度が少ない)
☑ 法人化してしまうと、事業をたたむのにもコストがかかる

このようにFXの法人化は、必ずしも「節税」には繋がりません。もちろん、FXだけで何千万、何億、何十億と儲けが出るのであれば話は別ですが。余程、大きな利益が見込める場合や、コストを差し引いても「大きな利益」が残せる場合でなければ、安易に法人化しない方が良いでしょう。

なお、個人トレーダーのFXにかかる税率と税金計算の方法は、以下の記事にて解説しています。法人化した場合と「どのくらいの差」があるのか、チェックしておきましょう。


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